頭部の右にモノグラム、左上に「ヒエロニムス・ホルツシューアー、1526年、齢57歳」の銘文が記されている。ヒエロニムス・ホルツシューアー（1469〜1529）は、デューラーの友人で、ニュルンベルクの古い都市貴族の家に生まれ、1499年から市参事会に属し、1509年には正市長に選ばれ、1514年に七人衆の一人に任命されている。またニュルンベルクの宗教改革運動にも参加している。
明るい背景に、胸像のように胸まで描かれ、細かい筆致で激しい気性まで描き出されている。
この肖像画には引き戸式の蓋がつけられ、蓋には月桂冠で囲まれたホルツシューアー家と夫人の実家ミュンツァー家の家紋と1526年の年記が描かれている。
同時期に描かれ、ほぼ同じ大きさで技法的にも似ている「ヤコプ・ムッフェルの肖像」がある。公的な目的にために、市参事会から依頼されたものかもしれない。

世界美術大全集14　北方ルネサンス
1520年代

デューラー
ヒエロニムス・ホルツシューアーの肖像
1526年　板　油彩
48×36cm
ベルリン　国立絵画館